2021-10-19

工藤元（kudogen）　脚本『ウザい男と笑わない女』　○繁華街・居酒屋前（現在・夜）（1）

脚本

○繁華街・居酒屋前（現在・夜）

繁華街に若い男女があふれ、活発な笑い声が響いている。

宏和、繁華街を歩いていく。

霞、宏和の後ろをついていく。

霞「どこに向かっているんだろう？」

宏和、酔って路上で寝ているサラリーマンを揺さぶりながら。

宏和「どうしました？気分悪いですか？」

酔っぱらい「うぃ、うーん。大丈夫、だーいじょうぶ・・・おえっ」

酔っぱらい、路上に嘔吐する。

近くの通行人から悲鳴があがる。

通行人「うゎっ、きったねー」「最低！」

宏和、酔っぱらいを後ろから支える。

2021-10-18

工藤元（kudogen）　脚本『ウザい男と笑わない女』　○オフィス街・路上（現在・夕方）（3）

脚本

宏和「あっ、ちょっとエリカちゃん・・・」

宏和、しばらく呆然と立ちすくみ、鞄を拾い汚れをたたくと、歩きだす。

霞、歩く宏和を見ながら呟く。

霞「なんでこんなおせっかいなの、この人」

霞、宏和と反対方向に歩き出すが、立ち止まって考える仕草で。

霞「どうせ何も変わらない・・・はずよ」

霞、宏和を足早に追いかけていく。

2021-10-16

工藤元（kudogen）　脚本『ウザい男と笑わない女』　○オフィス街・路上（現在・夕方）（2）

脚本

宏和「おっ」

宏和、突然走り出し、沢井エリカ（17）の肩をたたく。

エリカは、金髪でスカートの丈がとても短い。

宏和「エリカちゃん、久しぶり。元気？」

エリカ、振り向くと嫌そうな顔をする。

エリカ「またおっさんかよ、何の用だよ」

宏和「まあ、そう言わずに。少し話そうよ」

エリカ「嫌だよ。おっさんに関係ないだろ？」

宏和、笑って。

宏和「関係ないって事ないだろ、もう、友達みたいなもんじゃないか」

エリカ「は？お前なんか友達じゃねぇよ」

エリカ、うんざりしたように両腕を広げると、突然叫ぶ。

エリカ「この人チカンです、助けて！」

通行人が不審そうに、2人を眺める。

宏和「えぅ、ちょっと。違います、違います」

宏和、焦って鞄を落とし、両手を振る。

エリカ、笑って、人混みに走り去る。

2021-10-14

工藤元（kudogen）　脚本『ウザい男と笑わない女』　○オフィス街・路上（現在・夕方）（1）

脚本

霞が、道路を足早に歩いている。

霞、朝の宏和とのやりとりを思い出しながら呟く。

霞「本当におせっかいな人でイライラする。悩み事？関係ない他人に話したって何になるのよ」

霞、宏和が前を歩いているのに気づく。

宏和、霞に気づかず歩いていき、歩道に座っているホームレスに話しかける。

宏和「おじさん、調子はどう？」

ホームレス「よう。まあ、お陰様でなんとか生きているって感じかな」

ホームレス、笑う。歯が数本抜けている。

宏和、鞄からおにぎりを取り出し渡す。

ホームレス「あんちゃん、いつもスマンね」

ホームレス、顔の前で両手を合わせる。

宏和「いやいや、食べる暇なかったからさ。傷む前に食べてもらえば助かるよ」

宏和、じゃあ、と笑って歩いていく。

霞、訝しげに宏和の様子を見ている。

2021-10-13

工藤元（kudogen）　脚本『ウザい男と笑わない女』　○オフィス（現在・朝）（3）

脚本

同僚女性、同僚男性に小声で話しかける。

同僚女性「なんで勝田さんって、あんなに他人に構うのかね。会社の同僚っていっても、所詮他人なのにね。」

同僚男性「そうそう。たまたま同じ会社にいるだけなんだから、何かあったって見て見ぬ振りでいいんだよ」

同僚女性「山村さんも山村さんだけどね。笑う門には福来るじゃないけどさ、笑って流せばいいのに。」

同僚男性「だよな～いつも不機嫌そうな顔していたら、運も逃げていくって。」

霞、眉間に皺を寄せこめかみを指で押さえながら、ＰＣの画面を開く。

2021-10-12

工藤元（kudogen）　脚本『ウザい男と笑わない女』　○オフィス（現在・朝）（2）

脚本

宏和、一瞬真剣な顔をして、また笑顔で。

宏和「同じ会社で働く同僚だし、関係ないって事もないんじゃないかな。話してみたら楽になることもあるかもしれないよ。」

霞はバンと両手で机をたたく。

霞「私は大丈夫ですから。おせっかいはやめてください！」

ざわついていたオフィスが静まり返る。

宏和、霞に頭を下げる。

宏和「そうか、いや大きなお世話だったね。申し訳ない。ただ、笑顔が無いんで気になってね。何かあったら遠慮なく相談してくれていいからね？」

霞、頭を大きく横に振ると、ため息をついて席に座る。

2021-10-10

工藤元（kudogen）　脚本『ウザい男と笑わない女』　○オフィス（現在・朝）（1）

脚本

○オフィス（現在・朝）

オフィスで男女の従業員が雑談している。

宏和、霞の席の前まで行き、霞に声をかける。

宏和「山村さん、おはよう。」

霞、小声で答える。

霞「おはようございます」

宏和、微笑みながら。

宏和「山村さん、前から思ってたんだけど、何か悩み事でもあるんじゃない？」

霞の目じりが痙攣する。

霞「・・・突然何なんですか？勝田さんに関係ないですよね？」